先輩たちの声
挑戦のきっかけや成長のプロセス。
パイロットとして働くリアルな姿を
ご紹介します。
パイロットとしての
キャリアを築く女性たち
女性パイロット
かつて、パイロットは男性の職業というイメージがありましたが、近年はANAグループでも多くの女性パイロットが活躍しています。
そんな女性パイロットたちの経歴や働き方、仕事やプライベートで大切にしていることなど、
幅広いテーマについて副操縦士2人が語ります。

(ボーイング787 副操縦士)
ANAエアポートサービス株式会社でグランドスタッフとして働いたのち、崇城大学にて飛行ライセンスを取得し、2020年入社。2023年、ボーイング787の副操縦士に任用。

(エアバス 副操縦士)
2017年入社。地上配置中はANAセールス株式会社(現ANAあきんど株式会社)で営業に従事し、2023年、エアバスの副操縦士に任用。
※取材時点
01 TOPIC / それぞれの個を尊重された訓練生時代
それぞれの個を尊重された
訓練生時代
――まず、お二人がパイロットをめざしたきっかけを教えてください。

私は学生時代から航空業界で働きたいと思っていて、新卒でANAエアポートサービスに入りました。そこでグランドスタッフとして働きながら自分のキャリアプランについて考えるうちに、やりたいことがいくつか出てきて、そのうちの1つがパイロットでした。そこで、熊本県にある崇城大学の宇宙航空システム工学科に入学して訓練を受けました。

私は大学4年生のときにアメリカに留学していて、ボストンで行われたキャリアフォーラムでANAの人事の方にお会いしたのがきっかけです。そのときはグローバルスタッフ職で入りたいと思ったのですが、お話の中で「パイロットになる選択肢もあるよ」と聞いて、それで女性でもパイロットになれると知りました。そしてグローバルスタッフ職と自社養成パイロットの両方を受けたところ、受かったのがパイロットでした。
――訓練生時代の思い出を教えてください。

崇城大学の同期は私以外全員男性で、とまどいはありましたね。わざと言葉遣いや振る舞いを男性っぽくした時期もあったんですけど、教授から「あなたはあなたらしくいなさい」とアドバイスをいただいて、それからは環境に左右されることなく自分の軸を持って行動できるようになりました。

自社養成も同期で女性は私1人でした。でも、ほとんど気にならなかったし、とまどいもなかったですね。訓練に関しては男女関係なく、それぞれの個を尊重するという感じでした。

そうですね。基礎課程では小型プロペラ機 (セスナ)の操縦など力が必要な科目もあって、そのときはちょっとやりづらいなと感じましたけど、旅客機だと基本的に力は関係ないし、女性だからというハンディを感じることはほとんどなかったですね。

むしろ、女性で良かったと思うことのほうが多かった気がします。例えば、海外の訓練所のスタッフにもすぐ覚えてもらえるんです。それで「困っていることない?」とか、何かと気にかけてくれて。それから、同じ訓練所にいたルフトハンザ航空の訓練生に話しかけてもらって、女性同士で仲良くなって連絡先を交換したこともありました。

02 TOPIC / 女性が少ないからこそ覚えてもらいやすい
女性が少ないからこそ
覚えてもらいやすい
――副操縦士として乗務するようになって、何か変化はありましたでしょうか?

日々の業務の中で、私の発言一つが客室乗務員や整備士の仕事に関わってくるということを実感して、責任感やプロ意識が明確になりました。最初のうちは言いたいことが言えないこともありましたけど、1年目でも10年目でもお客様や客室乗務員にとってはプロなので、今は年数に関係なく意見すべきと思ったことは言いますし、疑問に思ったことは必ず伝えるようにしています。

副操縦士になったばかりの頃は、女性は目立つからより一層ちゃんとしないと、という気持ちがありましたね。「女性だからしょうがない」とか思われたくないので。実際に言われることはないんですけど。

それは私もありました。

でも、今はもう男女に関してはほとんど気にしていないですね。乗務のときに機長から見つけてもらいやすいのは確かですけど。

私たちのほうも機長を探すんですけど、同じ制服で同じ髪型だと見つけにくいこともあるんですよね。逆に私たちはわかりやすいから、先に挨拶していただけることが多いように思います。あと「女性の副操縦士と飛ぶのは初めてだから、気を付けたほうがいいことがあったら言ってね」とか、いろいろと気を遣っていただいています。

乗務が終わった後も、しっかり覚えてもらえている気がします。

オフィスで話しかけられることも多いですね。「この間はありがとう」って。
――女性パイロット同士のコミュニケーションも多いのでしょうか。

そうですね。人数が少ないぶん団結力があるように思います。

副操縦士任用訓練を受けた時はYさんが女性寮の隣の部屋で、訓練のスケジュールが違うのでじっくり話す機会はそれほどなかったんですけど、共に試練を乗り越える戦友みたいな感じがしました。

パイロット同士の情報交換も活発ですし、年に1~2回女子会もやっています。訓練生をはじめ、副操縦士から機長まで60人くらいいて、私が幹事を務めています。
――パイロットのやりがいや大切にしていることを教えてください。

天気も人も機体の状態も毎回違う中でフライトを組み立てていくのが、私はすごく楽しいです。うまくいけば嬉しいし、うまくいかなかったら悔しいので次はどうすればいいか考えます。

私は、人との関わりが楽しいと感じています。客室乗務員や整備士とのコミュニケーションもそうですし、空港の展望デッキから手を振っている方を見ると「お子さんが乗っているのかな」とか「飛行機が好きなのかな」と想像して、パイロットとしてのやりがいを実感します。

コミュニケーションは私も大切にしています。この仕事はたいてい初対面の人たちとチームを組むので、チームワークを発揮できるようにするために、積極的に自分から話しかけるように心がけています。渡航先で食事に行ったときに、客室乗務員の方から客室の様子がどうだったか聞くこともあります。

コックピットにいるとわからない情報が多いので、楽しいし勉強になりますよね。

03 TOPIC / たいていのことは努力でなんとかなる
たいていのことは
努力でなんとかなる
――仕事以外で大切にしていることを教えてください。

明日の自分が後悔しないように、プライベートも含めて全力で生きることです。ディズニーが好きで、最近は女性パイロットの同僚と一緒に上海のディズニーランドに行きましたし、香港のディズニーランドにも行く予定です。どちらも女性パイロットの同僚と一緒で、ほかに両親や地上配置時代の友達と海外旅行をすることもあります。

私もプライベートも仕事も全力で楽しんでいます。あと、大切にしているのはいろいろな人と関わることですね。パイロットは専門職で、どうしても考え方や価値観が凝り固まってしまうと感じることが多いので、まったく違う業種や職種の友達や知人と会うようにしています。
――今後の目標や抱負を教えてください。

大きな目標は機長になることです。そのために操縦技能や運航に関する知識を高めながら、いろいろな経験をしていきたいと思っています。

私は国内線がメインなのですが、今後は国際線の経験も積んで、視野を広げていきたいと思っています。あとは、地上配置で営業をやっていた頃の仲間とか、女子会の皆さんとか、これまで築いてきた人間関係を大切にしながら、後輩とのつながりも増やしていきたいですね。

私は国際線がほとんどで、フライトの回数が少なくて離着陸も少ない一方で、フライト時間が長くて時差もある。国内線は逆で、時差はないけれど朝から晩まで何往復もしなければならない。だから、必要な対応が全然違うんですよね。
――最後に、パイロットの仕事に興味を持っている学生の皆さんへのメッセージをお願いします。

周りの方々に「本当に大丈夫なの?」と心配されることもあるかもしれませんが、実際は楽しめることがすごく多い仕事です。パイロット楽しそうだなと思う方がいらっしゃったら、ぜひ一緒に働きたいですね。

挑戦するかどうか迷っているのなら、ぜひ挑戦してみてほしいですね。就活の相談を受けたときに「文系なので物理がわからない」とか「英語が苦手なので」といった話を聞くこともあるのですが、たいていのことは努力でなんとかなると私は感じています。本当にパイロットになりたいと思うのなら、自分に足りないと思うところを努力すればいいだけですから、そこが不安だからやっぱり受けるのを止めようっていうのはもったいないかなと思います。

そうですね。やってできないことは、たぶんこの仕事にはないと思うので、頑張ってください。
